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コーヒーは今や中国の若者にとってコミュニケーションに必要不可欠なものであり、市場が拡大し続けています。さらに、健康を意識する消費者の増加に伴い、体に良い成分を取り入れたコーヒーが人気を集めています。今月号では、伝統的な健康食材や薬草を取り入れた新しいコーヒーのトレンドを紹介していきます!
インスタントコーヒーを始めとする中国のコーヒー文化は、近年、都市部を中心に当たり前の存在になり、徐々に地方へと広がりを見せています。特に若者たちは、ただおいしさを求めるだけでなく、コーヒー自体がコミュニケーション手段の一つになることを求めているそうです。例えば、職場に置いて「コーヒーブレイク」の時間が生まれることで、同僚との距離が急速に縮まるというケースも多く見られます。また、コーヒーがもたらす雰囲気も若者を引きつける理由の1つです。SNSで多く見られるように、カフェの写真には高級感が漂っていることも多いですよね。カフェではコーヒーと共に、友人と会話を楽しみながら休日のひとときを満喫したり、一人で静かな時間を味わったり、様々な楽しみ方ができます。このようなコーヒー市場の盛り上がりを受け、現在では老舗コーヒーチェーンが事業を拡張するだけでなく、多くの企業が業界の枠を越えてこの市場に参入しています。
中国においてコーヒーは新たな時代に突入しています。瑞幸(ラッキン)や庫廸(コッティ)、Manner(マナー)といった国産コーヒーブランドが登場し、それぞれ独自のコンセプトを打ち出すことで差別化を図っています。そのような中、治療や健康指導を提供する「中医館(中国医学)」や中国伝統の「中薬(漢方薬)」を処方する薬局では、漢方薬の材料とコーヒーをブレンドした「漢方珈琲」を打ち出し、併設の喫茶室などで提供。このような健康と現代のトレンドの融合は若者の間で話題となり、SNSで盛り上がりを見せています。例えば、流行に敏感な若者が集まる四川省成都市や上海市、広東省広州市などの都市部では、コーヒーブランドが独自に開業した専門店が次々とオープンするだけでなく、地元の中医館や薬局とコーヒーブランドが提携した店舗も増えてきました!
1669年創業、中国を代表する中医薬専門店として有名な「同仁堂」は、伝統的な漢方と現代のカフェを融合させた「知嘛健康」をオープンしました。長年にわたる漢方の知識と経験を基に、漢方薬の力を活かしたユニークなカフェ体験を提供しています。伝統的な漢方の薬理効果を活かした様々なドリンクがあり、例えば、漢方コーヒーのメニューとして、紅景天(コウケイテン)ラテや枸杞(クコ)ラテ、羅漢果(ラカンカ)アメリカーノ、金銀花(スイカズラ)コールドブリュ―など、コーヒーと様々な漢方をブレンドしたメニューがたくさん!季節ごとに変わるスペシャルドリンクも提供され、新たな味覚体験を楽しむことができます。店舗のインテリアは伝統的な中医館や薬局をモデルとしており、伝票は昔ながらの処方箋を模したデザインを使用。店内は落ち着いた雰囲気と心地よい香りに包まれ、癒される空間となっています。また、最新のTMT赤外線サーモグラフィが導入され、常駐する専門の漢方医師や健康アドバイザーから健康相談やカスタマイズされた漢方ドリンクの提案を受けることもできるんです!このような幅広いサービスは同仁堂の伝統と創造性が融合した新しい試みであり、健康と美味しさを追求する消費者にとって魅力的な選択肢となっています。
画像②のコーヒーブランド「DANDANSHOU」は「弾丸」にインスパイアされてできた健康を意識したブランドです。コーヒーを飲むことで、”銃で撃たれても丈夫なほど健康な体になる”というコンセプトがあります(画像③)。このような伝統コーヒーの概念に捉わない「健康×コーヒー」を徹底的に追求したブランドは若者の間で話題になっているようです。例えば、ブレットプルーフコーヒーという商品がありますが「防弾珈琲」という意味で、バター入りのコーヒーのことを指します。ダイエットに効果的で、脳の活性化を促すコーヒーなんです!体を目覚めさせる効果があるので、朝に飲むことで最高のパフォーマンスを発揮できそうですよね!DANDANSHOUは、他にもコーヒーと特許を取得した健康製品を組み合わせて、バレットシリーズ、ヒアルロン酸シリーズ、氷抽出シリーズ、マンションシリーズといった独自のメインシリーズを展開しています。コーヒーを注文する際、バレットやプロバイオティクス、ヒアルロン酸といった健康関連用語を見ることはあまりないので、新鮮ですよね。
今回は、若者を中心に独自性や健康を軸としたコーヒートレンドを取り上げました。今後もどんなユニークなコーヒーが登場するか、気になりますね!