REPORTS
以前の記事でスムージーや抹茶のトピックをご紹介しましたが、ネット上では新しく興味深いドリンクのトレンドが次々と登場しています。今回ご紹介するのは、SNSで話題になっている「DIYドリンク」というトレンドです。一体どんなドリンクなのでしょうか?なぜ人気を博したのでしょうか?この記事でいくつかの事例を紹介していきます。
DIYドリンクとは、単刀直入に言うと「自分でカスタマイズできるドリンク」のことです。中には、ドリンクを超えてまるで新しい種類のデザートのように見えるものもあります。これは単なるレシピではなく、消費者が個々のライフスタイルに合わせて製品やサービスをカスタマイズできることが重視される時代の中で、新規顧客を引き付け、既存顧客を維持するためにコーヒーショップが始めた商品です。コーヒーやお茶などのベースにチョコレートソースをはじめミルクやさまざまなお菓子とフルーツなどを加えて、コンビネーションを楽しむことができるという、新しいドリンク商品なのです。
画像①
画像②
このトレンドを牽引する有名フランチャイズカフェの様々な事例をいくつかご紹介します。 画像②は、SNSで、タイのセブンイレブンがさまざまなアイテムから独自のミックスドリンクのメニューの作り方を紹介している様子です。クッキーや菓子パン、スナックを混ぜて自由にオリジナルドリンクを作ることができ、SNSで注目されています。画像③はタイのカフェ「Café Amazon」が打ち出した「DIY Design Your Cup」という、お客様がメニューを自作できるキャンペーンです。誰もが「自分だけの秘密のレシピ」を生み出すことができるのが新しい体験であっただけでなく、特別美味しいレシピを発明した時にSNSで共有したくなるような仕掛けがあり、それを見た別の消費者が店に足を運ぶ動機になっているのです。
画像③
画像④
その仕掛けとは「Design Your Cup」の名の通り、「カップをデザインする」という体験にあります。このキャンペーンでは、考案したメニューに名称や考案者の名前をシールとして記載することができるのです。写真を撮ってSNSにシェアすれば、自分だけのカップで世界にひとつだけのドリンクのように楽しむことができます。
この大盛況のキャンペーンに、競合の「Punthai Coffee」も黙っていません。画像③のようにお店にあるブラウニーやイチゴを組み合わせて自分だけのドリンクを「クラフト」できる「Punthai Craft」というキャンペーンを実施しました。
さらに、あのスターバックスでさえもカスタマイズメニューを作成できるようにし、この大きなトレンドの波に加わりました。画像④はドーナツと抹茶ラテのコンビネーションです。以前の記事で紹介した抹茶ブームを戦い抜いたタイのカフェ市場は、今度はパーソナライズされたドリンクという新たなトレンドの渦の中に巻き込まれることになったのです。
このトレンドは、お客さまがカフェのバリスタの協力を得て自作したメニューが発端で、SNSを通じて話題となり、注文する人や独自の新しいメニューを作り出す人が殺到しました。ここまで爆発的に流行した理由を考えてみると、それは「ここが“タイ”だから」なのではないかと思います。タイは、例えば麺類を注文するとき、お店で麺の種類を変えられたり、スープを入れたり、入れるなら辛いトムヤムにするか定番のスープにするかを選べたりなど、自分の好みに応じて選択できることが当たり前の国なのです。つまりこの「カスタマイズ」というトレンドは、タイのお国柄によって発展したものと言えるのではないでしょうか。タイ人自身も「“タイ人”とは自由を意味する」と、自慢げに冗談を言ったりします。
前々回のスムージー、前回の抹茶、そして今回はDIYドリンク。3回にわたってお届けしてきたタイ発のドリンクトレンド、いかがでしたでしょうか?次はどんなユニークなドリンクが登場するのか、ますます目が離せません!タイを訪れる際は、ぜひドリンク巡りも楽しんでみてくださいね。