既存の要素で、目指す企業姿を表現
ビジュアル面では、シンボルである分銅マークを維持することはクライアントの強い意向であったため、大幅リニューアルではなく、戦略的リファインを行いました。具体的には、分銅マークやその外縁、SHIONOGIのロゴタイプのスペーシングや形状を調整し、洗練された現代感を付与していきました。それにより、培ってきたSHIONOGIグループの信頼感を損なうことなく、多様なチャネルでも統一感のあるコミュニケーションが可能なデザインにアップデートされたのです。
また、このリブランディングでは、分銅マークを構成するグラフィック要素に込める意味合いにも、重点を置きました。特に注目したのは外縁です。これまで、意味や名称などは存在しない要素でしたが、今回新たに「Dynamic One Ring」と命名。”SHIONOGIグループとステークホルダーがひとつになり、ダイナミックに拡張していく”というストーリーを込めることで、SHIONOGIの全社員が語れるデザイン、誇りを持てるデザインへと昇華させたのです。この「Dynamic One Ring」は、様々なアプリケーション展開においてもサブグラフィックとして活用され、ブランド表現を強化する重要な要素となっています。
今回のリブランディングを経て、さらなる成長へと舵を切ったSHIONOGIですが、新たに掲げたビジョンやブランドロゴに込めた志を、積極的に社外に発信しています。今後は、社内への浸透も重要になっていきますが、弊社では、その中核となるツールとしてブランドブックの作成も実施。ブランドに込めた想いや意味を、丁寧にそして感覚的に伝える工夫を施すことで、ブランド理解のスタートツールとして活用されています。
歴史ある企業だから変えられない、リブランディングできないということは決してありません。守るべき要素と進化させるべき要素を検討し、戦略的ブランディングを実行することで、企業を新たな成長ステージへと押し上げることは十分可能なのです。