ブランドを強める統一感
強いブランドにとって、「統一感」はとても重要な要素です。顧客は色々なタッチポイントから一つのブランドに接触することで、頭の中にそのブランドのイメージを蓄えていきます。ところが、毎回異なる印象を与えていては、同一のブランドとして認識してもらうことができません。もし、同一のブランドだと認識されたとしても、その訴求力は低下してしまうでしょう。下手をすれば、常に違うことを言っているブランドとしてネガティブなイメージを与える可能性すら考えられます。
統一感の際立ったブランドの一例として「無印良品」があります。株式会社良品計画が運営するブランドですが、国内はもとより海外でも「MUJI」として知られ、模倣した類似ブランドが登場するほどに成長しました。その統一感は有形のモノだけでなくカタチのない音や匂いにまで至り、「無印良品」のブランド名を聞くだけで、多くの人がブランドカラーやロゴはもちろん、シンプルかつ機能的な数々の製品、クラフトペーパーやウッドの質感、店内に流れる独特なBGMやアロマの香りまでも思い浮かべることでしょう。この統一された独自の世界観に魅了されたファンは、小物やインテリアから家そのものまでも「無印良品」で揃えてしまうと言います。もちろん、一つひとつの製品の形やデザイン、素材、色などが全く同じなわけではありませんが、その根底にある軸=コンセプトにはわずかなブレもありません。このコンセプトから生まれた「統一感」こそが、無印良品の最大の魅力といえるのではないでしょうか。